Monthly Health Report (2021.06)

ゆるやかメンタルヘルス術

怒りを上手に制御する
アンガーマネジメントのコツ

物事が思い通りにならないとき、怒りを感じるのは自然な反応です。しかし感情に任せて相手を攻撃してしまえば、仕事や人間関係に亀裂が入ってしまうことも……。怒りを溜め込まず上手にコントロールする「アンガーマネジメント」のコツを知っておきましょう。

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情(=アンガー)をコントロールする手法のこと。1970年代のアメリカで生まれました。主に感情を制御することが求められる職種(医師、カウンセラー、政治家など)のための心理トレーニング手法として生まれたアンガーマネジメントは、効果が認められたのち犯罪者の更生プログラムとしても取り入れられるようになりました。現在は、どんな立場の人についても「仕事やプライベートをより良い方向へ導くための手法」として有用性が認知され、世界で広く活用されています。

誤解されやすいのですが、アンガーマネジメントは決して「怒らないようになる」ための手法ではありません。怒りに振り回されることなく制御する、いわば「怒り上手になる」ためのトレーニング法です。アンガーマネジメントでは、怒りの感情そのものを否定することはありません。ただ怒りの表出をコントロールすることで、トラブルを回避し人間関係をスムーズにしていきます。このため、怒りを爆発させやすい人だけでなく、怒りを溜め込みやすい人にとっても有益なスキルになるでしょう。

怒りをコントロールするメリット

たとえば「仕事が予定通りに進まず、部下を怒鳴りつけてしまった」「心に余裕がないときに家族からカチンとくる一言を言われ、大喧嘩してしまった」など、怒りの制御がうまくいかずに後悔した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。仕事や人間関係に支障が出るだけでなく、「なぜ冷静に対処できなかったのか」と自分を責めてしまうケースも多いものです。

アンガーマネジメントのスキルが身につけば、怒りの感情と適切に向き合い、冷静な行動を選択できるようになります。人間関係がスムーズになれば仕事に集中できますし、仕事が順調に進めば心に余裕が生まれ、周囲とより良い関係を築けるでしょう。

怒りをコントロールすることでこうした好循環が生まれ、周囲にとっても自分にとっても心地よい環境を作っていくことができます。

基本とポイント

■怒りを否定しない
怒りは天敵から身を守るための防衛本能であり、悪いものではありません。怒りの感情そのものや自分自身を否定する必要はなく、あくまでも表出の仕方をコントロールすることが重要です。
■繰り返しで上達していく
アンガーマネジメントは繰り返し練習することでだんだんと上達していく技術です。最初はうまくいかなくても大丈夫。「コントロールする方法がある」と知っているだけでも選択肢が広がります。

トレーニング・3つのSTEP

■自分の怒りの癖を知る
まずは、自分がどんなことで怒りを感じやすいのかを把握していきます。やり方はシンプル、日常で怒りやイライラを感じたらすぐにメモをとりましょう。手帳に手書き、スマホアプリにメモ、どちらでもOKです。「何に対してこう感じた」と状況と感情を合わせて記録しておき、1週間ごとに振り返るなどして自分の怒りの癖を把握しましょう。
■「べき思考」をゆるめる
自分の中に「こうあるべき」という思い込みがあるとき、その通りに物事が進まないと人は怒りを感じます。ここで知っておきたいのは、他人の思う「べき」と自分の中にある「べき」は必ずしも一致しないという事実です。もっとこうあるべきなのに、こうするべきなのに……という怒りを感じたときは、「べきの基準は人それぞれ」と自分に教えてあげてください。
■許容できないことは共有しておく
信念や価値観を守るためなど、必要があれば怒りを表明することも大切です。とは言え、トラブルはできるだけ事前に回避したいもの。そこで自分の許容範囲を超える言動について、相手にあらかじめ共有してしまうのも一手です。とくに家族など身近な人、仕事のパートナーなど多くの時間関わる人に対しては、「私はこれをされたら怒りを感じる」とできるだけ具体的な形で伝えておくと良いでしょう。

今すぐ使える、怒りの「6秒ルール」

誰かに怒りをぶつけてしまいそうになったら、心の中で「1、2、3……」と6秒間カウントしてみてください。

爆発的な怒りの原動力は、脳内物質アドレナリン。このアドレナリンは怒りを感じてから6秒間をピークに分泌され、あとはスーッとおさまっていきます。つまり最初の6秒をやり過ごすことで、とっさの怒りを爆発させず冷静に話し合える可能性が高くなるのです。

それでも怒りがおさまらないときは「トイレに行く」など、いったんその場を離れることも試してみてください。