Monthly Health Report (2023.02)

今知りたい 季節の健康コラム

ヒートショック

冬場の屋内、部屋ごとの大きな温度差は、私たちの身体に予想以上の負荷をかけます。その負荷によって引き起こされるのが、近年話題の「ヒートショック」です。

ヒートショックとは、周囲の温度が急に変化したことにより、血圧が上下に激しく変動し、さまざまな症状を招いてしまう現象のこと。血圧の乱高下によって引き起こされる症状とは、失神や意識障害、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などで、生命に危険が及ぶケースも少なくありません。また、入浴時にヒートショックが起きた場合、浴槽内での溺死につながることもあります。実際に、家庭内のお風呂場での事故死は交通事故死の数よりも多く、入浴時の死亡事故のほとんどが浴槽内で起きています。

ヒートショックが起きる原因は、急激な温度変化にあります。たとえば、暖房で暖められた部屋から寒い部屋に移動するとき。また、お風呂で熱いお湯に浸かったり、逆に上がったりするときなど。同じ家の中でも暖房のきいた部屋と他の場所とでは10度以上の温度差が生まれることも多いため、脱衣所や浴室、トイレ、廊下などに移動する際は注意が必要です。また、高齢者や血圧の高い人、動脈硬化のリスクが高い持病のある人などは、ヒートショックを引き起こしやすいと知っておきましょう。

ヒートショックを防ぐためには、急激な温度変化を避けることが大切です。小型の暖房器具などを活用し、脱衣所や浴室を、使用前に暖めておきましょう。また浴槽に入る前に40度くらいの熱すぎないお湯でかけ湯をし、浴槽内のお湯の温度も41度以下に保ちます。入浴時間は10分以内を目安にし、お風呂から上がるときは急に立ち上がらずゆっくりと湯船を出るよう心がけましょう。食事の直後や飲酒時の入浴を避け、入浴の前後にコップ1杯の水を飲むことも効果的です。万全の注意で事故を予防していきましょう。