Monthly Health Report (2023.08)

ゆるやかメンタルヘルス術

そのイライラ、凹み……暑さのせいかも!
夏の「メンタル乱高下」に備えよう

暑さ、湿気、睡眠不足にクーラー病……。日本の夏はメンタルを直撃してくる過酷な要素がいっぱいです。暑さによるイライラ・モヤモヤを回避して、毎日を元気に笑顔で過ごすため、夏に乱れやすいメンタルの仕組みと、意識したい簡単なストレス対処法を知っておきましょう。

暑さは心のストレスになる

暑い夏。なんだか小さなことにもイライラして、思わず人に強く当たってしまったり、そんな自分に後から落ち込んでしまったり……。メンタルが乱高下していませんか?

気温は、人の脳と身体に大きな影響を与えます。人は寒い場所では眠くなり、暖かい場所では活動的になります。適度な暖かさを保てる環境であれば、脳も身体もスムーズに動き、仕事も勉強もうまくいくもの。しかし、あまりに気温が上がりすぎると脳や身体のパフォーマンスが急激に低下し、心理的には攻撃性が増すことがさまざまな研究でわかっています。

とくに日本の夏は湿度が高く、これもメンタルにストレスを与える要因の1つです。つまり、蒸し暑い夏に普段よりイライラ・モヤモヤしたり、判断力が鈍って自分らしくない行動をとってしまったりすることは、いわば「自然の摂理」なのです。ちょっぴり悔しい事実ではありますが、これは「必要以上に自分を責めるのは逆効果である」ということでもあります。

睡眠不足やクーラー病もメンタルへの影響大

ジメジメと蒸し暑い季節には、睡眠の質も低下しやすくなります。布団に入ってもなかなか寝付けなかったり寝苦しくて夜中に目覚めてしまったりと、夏は睡眠不足にもなりやすい季節です。人間の脳は、睡眠不足の状態を「生命の危機」と捉え、心拍数や血圧を上昇させるアドレナリンというホルモンを分泌させます。

アドレナリンはもともと外敵を倒しピンチを切り抜けるためのホルモンで、神経を昂らせて攻撃性を高める作用を持っています。夏に限らず、睡眠不足の人が怒りやすくなるのはこのためです。

また、暑い屋外と冷房の効いた室内とを行き来することで生じる自律神経の失調症状、いわゆる「クーラー病」にも要注意です。交感神経と副交感神経の切り替えをコントロールしている自律神経は、メンタル調整の総本山。そのバランスが乱れてしまうクーラー病は、やはりメンタル乱高下の大きな要因となります。

要注意!夏のストレス・セルフチェック

心当たりがあるなあ……と感じた方は、暑さによるストレスの影響を受けやすい状態にある、もしくはすでに大きな影響を受けてしまっているのかも。下記の対策を参考に、自分をケアしてあげましょう。

対策1:何はともあれ「休息」を

「自分らしくない」と思うほどのイライラ感は、心身からの「そろそろ休んで」というSOSであるケースが多いもの。多忙な日々の中で、無意識のうちに休息を後回しにしてしまっていませんか?ぎくり!としたあなたは、「休息」の優先度をぐぐっと上げてみてください。

夏はただでさえ心身が疲弊しやすい季節ですし、現代は興奮を司る交感神経がオンになりやすい環境であるともいわれています。仕事も生活もいつもよりペースダウンして、こまめに深呼吸したり、スマホから離れて少しだけぼんやりしたり、休息とリラックスを心がけてみましょう。

入浴をシャワーで済ませがちな人には、ゆったりとお風呂に浸かる習慣もオススメです。お風呂は自律神経を整える一番の近道。40℃前後のお湯に10~15分ほど浸かると、心も身体もスッキリします。

対策2:食生活で2つのことを意識しよう

メンタルの乱高下対策として、食生活では「時間」と「栄養バランス」の2つを意識してみましょう。

まずは食事の時間から。ポイントは「毎日3食、同じ時間に食べること」です。自律神経は規則正しい生活リズムが大好きで、食事や就寝・起床の時間が安定するだけでもグンと整いやすくなります。「最近暑さでイライラしたり、後から落ち込んだりしがちかも」と感じたら、食事の時間を一定に揃えてみてください。なかなかお腹が空かないときには、軽い運動も加えてみましょう。

次に意識したいのが、栄養バランスです。メンタルをコントロールしているのは脳であり、脳の働きを左右するのは食事から摂取する栄養素です。自分の食欲と相談しつつ、無理のない範囲でカルシウム、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど不足しがちな栄養素を追加していきましょう。

オススメはお味噌汁です。お味噌汁は身体を温め、夏に消費しがちな塩分やミネラル、タンパク質のほか、イライラの軽減に役立つ大豆イソフラボンも摂取できます。