Monthly Health Report (2023.06)

暮らしの栄養素メモ

ベタイン

ベタインは、自然界に存在するアミノ酸の一種です。エビやタコ、てん菜、キノコなどに多く含まれ、肝臓病や動脈硬化等の予防に役立つ働きを持っています。

ベタインの働きと特徴

ベタイン(betaine)は一部の海産物や植物に含まれるアミノ酸の一種で、その名前はヒユ科の植物である「てん菜(ビーツ)」の学名(Betavulgaris)に由来しています。別名として、トリメチルグリシン(TMG)、ベタイングリシンとも呼ばれます。

エビやカニなどの甘味や旨味に関わる成分であり、優れた吸湿性を持つことから、食感・風味を向上させ保存性を高める食品添加物として、カニ風味かまぼこなどの水産加工食品に用いられています。また強い塩味や酸味をまろやかにする効果があることから、イカ塩辛や珍味などの製造過程でも重宝されています。食品以外の分野では、保湿成分トリメチルグリシンとして、化粧水や乳液、シャンプー、コンディショナー等にも広く用いられています。

栄養素(食品)としてのベタインには、脂肪肝の予防・改善、肝機能の向上、肝硬変、肝炎、肝がんなどの肝臓病を予防・改善する効果が見込まれています。また血中のホモシステインを分解し、コレステロール値の上昇を抑えることで、糖尿病や動脈硬化の予防にも役立ちます。他にも、胃腸の機能改善、血流改善、筋肉量の増加サポートなど、さまざまな働きが期待されています。

ベタインの摂取目安量

厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2020年版)では、ベタインの摂取目安量についてはとくに定められていません。また通常の食事の範囲内であれば、ベタインの欠乏および過剰摂取の心配はありません。

ベタインを多く含む食品

ベタインを多く含むのは、頭足類(タコ、イカ)、甲殻類(エビ、カニ)、貝類、てん菜、ほうれん草、麦類、キノコなど。また、一部の水産加工食品やうま味調味料などにも含まれています。