Monthly Health Report (2023.07)

ゆるやかメンタルヘルス術

知れば知るほど気持ちがラクに♪
話題の「ストレスコーピング」とは?

最近注目されている「ストレスコーピング」。これは、ストレスに対処するためのさまざまな手法を表す言葉です。ストレスコーピングについて知っておくと、ネガティブな感情をコントロールしやすくなります。今回は、ストレスコーピングの基本をわかりやすく解説します。

ストレスコーピングとは?

ストレスコーピングとは、心理学用語で「ストレスの源(= ストレッサー)にうまく対処することや、その方法」を指す言葉です。

うまくいかない人間関係、満員電車、暑さ・寒さ、不快なニオイ……など、ストレッサーはさまざまな形で日常に潜んでいます。本人にとって我慢できない過剰なストレスや、終わりの見えない長期的なストレスは、心身にダメージを与え健康にも悪影響を及ぼします。

ストレスコーピングはこうした、ストレスによる悪影響(= ストレス反応)を和らげるための考え方であり、手法です。コーピングの手法はたくさんありますが、主に「問題焦点型」「情動焦点型」「ストレス解消型」の3つのタイプ(段階)に分類できます。

ストレスコーピング実践のポイント

具体的なやり方の前に、ストレスコーピングを効果的に行うための大事なポイントを知っておきましょう。

(1)まずは状況を把握する
自分がどんなことにストレスを感じているのか、現状を正確に把握することが大切です。頭の中で考えるだけでなく、問題となる出来事や思いを紙に書き出してみましょう。
(2)主体的に考える
「自分のできる範囲で対処してみよう」と、主体的な姿勢で問題と向き合いましょう。ストレスコーピングの3段階のうち、自分が今どのステップを実践しているのかを自覚しておくのも成功のポイントです。
(3)たくさんの手法を持っておく
ストレスを和らげる効果的な方法は、人によってもタイミングによってもさまざまです。静かなひとり時間に癒やされることもあれば、思いきり騒いで気分転換できるとこともあるでしょう。自分に合ったストレスコーピングの種類をできるだけたくさん知ることも1つのコツです。

【1】問題焦点型コーピング

ストレスコーピングの第一段階は「問題焦点型コーピング」です。これはストレッサーに直接働きかけて状況を変化させる手法で、主に2つのパターンがあります。

■問題焦点型
ストレスの発生源そのものを変えたり、ストレスの発生源から距離を置いたりする手法です。
例)「仕事量が多すぎる」
→ 業務量を調整する、分業化を図る など
■社会的支援検索型
周囲に相談してサポートやアドバイスを求める手法です。人と話すことで改めて状況を整理できるメリットもあります。
例)「初めての育児で気持ちが不安定」
→ 現状について家族や友人と話し合う、支援機関に連絡をとる など

【2】情動焦点型コーピング

ストレッサーに直接働きかけるのが難しい場合は、第二段階の「情動焦点型コーピング」を行いましょう。これは、自分の中の考え方や捉え方を変えることでストレスを軽減させる手法で、主に次の2つのパターンがあります。

■情動焦点型
ストレッサーによって生じた、怒り、悲しみ、不安といった情動(感情)と向き合い、自分の言葉で表現したり、客観的な意見をあおいだりします。感情を整理すると、それだけで心の負担が軽くなります。
例)「過去の嫌な記憶が頭から離れない」
→ 日記に感情を吐き出す、親しい人に話を聞いてもらう、カウンセリングを受ける など
■認知的再評価型
物事に対する認知(= 感じ方や捉え方)を変える手法です。起きた出来事の悪い面だけでなくよい面を探してみたり、事実を客観的に見直してみたりすると、ネガティブな感情が軽減されやすくなります。また、「友人に同じ相談をされたら自分はどう答えるだろう?」と視点を変えてみることで、新たな解決策が見つかる場合もあります。

【3】ストレス解消型コーピング

第三段階は、すでに感じているストレスを軽減するための「ストレス解消型コーピング」です。いわゆる「気分転換」が、この手法にあたります。

どんな気分転換が有効かは、人によって、またタイミングによって異なります。食事や散歩、旅行、スポーツ、親しい相手との会話、カラオケ、読書、趣味への没頭など。またリラクゼーションを重視するなら、瞑想やヨガ、呼吸法、アロマ、入浴などもよい方法ですね。

ストレス解消法は多ければ多い方が安心です。いろいろな気分転換法を試してみて、自分に合う方法を把握しておきましょう!