Monthly Health Report (2023.07)

暮らしの栄養素メモ

ナトリウム

ナトリウムは、人体に必須のミネラルです。体内における水分量や体液pH濃度の調節を担っているほか、神経情報の伝達や栄養素の運搬などに寄与しています。

ナトリウムの働きと特徴

人間の身体は、細胞内外のナトリウムおよびカリウム濃度を一定に保つことで、水分量の調節や浸透圧の維持、体液のpH濃度の維持を行っています。これらが正常に機能しなければ、脳内の電気信号のやりとりも、脳から筋肉への指令伝達もうまくいきません。ナトリウムは、運動機能や生命維持に関わる重要な成分の一つなのです。

ナトリウムが関係している主な身体機能としては、酸・アルカリ平衡の維持、神経情報伝達、筋肉の収縮、栄養素の吸収・運搬、血圧の調節などがあげられます。また、胆汁、膵液、腸液などの原料としてもナトリウムが用いられます。

日本人はナトリウムを比較的多く摂取する傾向があるため、健康な人の通常の食生活においては不足の心配はなく、むしろ過剰摂取を控える工夫が求められます。ただし多量の発汗や下痢・嘔吐などで急激に水分が失われた場合は、ナトリウムの欠乏による熱中症や低ナトリウム血症などを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。

ナトリウムの摂取目安量

厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2020年版)によると、ナトリウムの推定平均必要量は18歳以上の男女で1.5g/日(食塩相当量)とされています。通常の食事による不足の心配はほとんどなく、むしろ過剰摂取が懸念されるため、同基準では摂取の上限を示す目標量として、18歳以上の男性で7.5g/日、女性で6.5g/日(いずれも食塩相当量)が提示されています。

ナトリウムを多く含む食品

食事におけるナトリウムの主な摂取源は、食塩(塩化ナトリウム)や食塩を含有する食品です。とくに一部の調味料(しょうゆ、味噌、めんつゆ等)、漬物、加工食品(肉・魚介、即席めん等)などに多く含まれています。