Monthly Health Report (2023.10)

ゆるやかメンタルヘルス術

集中力や思考力がUPする
「積極的ぼんやり」のススメ

仕事、家事、育児、etc……と、何かと忙しい現代。あなたは、何もしない時間を確保できていますか? 頭を空っぽにしてぼんやりする時間は、集中力や創造性を維持するために不可欠です。今回は「積極的ぼんやり」の効果やメリットと、上手に実践するコツを解説します。

大人にこそ「ぼんやり」が必要なワケ

何もせず、頭を空っぽにしてぼんやりと過ごす時間。大人になるとなかなか取れないものですよね。でも「ぼんやり」が脳や心に与える影響(メリット)を考えると、じつは社会人にこそ「ぼんやりタイム」が必要といえそうです。

何も考えずにぼんやりしているとき、脳はDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれるアイドリング状態にあります。自動車で例えると、いつでもすぐ動き出せるようにエンジンをかけて待機している状態です。機能を停止しているように見えても、実際はそうではありません。それどころか、DMN状態下の脳は普段より多くのエネルギーを消費しているといわれています。

私たちがぼんやりしているとき、脳は静かに、しかし高速で情報を処理しています。インプットされた記憶や経験を整理・分析し、知識やアイデアに変えているのです。こうして生まれたアイデアは、仕事や趣味に役立ちます。仕事ができるビジネスマンは休憩を大切にするケースが多いものですが、彼らは仕事の手を止めてぼんやりする時間の重要性を知っているのかもしれません。

ぼんやりするって、意外と難しい?

生活の中でこまめに「ぼんやりタイム」を確保すると、頭の中が自然と整理され、気持ちのリフレッシュや情緒の安定にも繋がります。しかし現代は、意識しないとなかなかぼんやりできない時代かもしれません。

というのも、現代社会では脳にインプットされる情報があまりにも多く、情報へのアクセスも驚くほど手軽にできるためです。たとえば、電車で移動する10分間や飲食店で食事が来るのを待つ5分間、あなたは何をしていますか? 「ぼんやりしている」という人は少数派で、多くの人は手元のスマホで何らかの情報を閲覧しているのではないでしょうか。情報にパッとアクセスできることは、とても便利で素晴らしいこと。ですが大量の情報が休みなく流れ込んでくると、脳も心も疲弊してしまいます。集中力や思考力を高めてよいアイデアを生み出すためには、何もしない「ぼんやりタイム」を意識して確保していきましょう。

「積極的ぼんやり」は、こんな人にオススメ

「積極的ぼんやり」上手な実践術・3つ

慣れていない人にとって、「頭を空っぽにする」というのは意外と難しいものです。生活に「ぼんやりタイム」を取り入れてみようとしたものの、つい考え事をしてしまったり、スマホを触ってしまったり……「なぜかうまくいかない」と感じる人も多いでしょう。そんなときは、自然とぼんやりモードになれる次の方法を試してみてください。

(1)雑音や自然の動きを利用する
屋外でぼんやりモードに入るなら、心地よい適度な雑音や、自然が生み出す不規則な動きを利用するとよいでしょう。たとえば人通りの多い場所でざわめきをBGMにゆっくり過ごしたり、海や川で水の流れを眺めたりするのがオススメです。
(2)アロマや音楽を利用する
自宅でぼんやりする場合は、照明を少し暗めに設定し、好きな香りのアロマを炊いたり、静かで心地よい音楽を小さな音で流したりしてみましょう。スマホを手の届かない所に置くのも大事なポイントです。
(3)マインドフルネス瞑想を利用する
マインドフルネス瞑想とは、自分の呼吸や感覚に集中することで頭の中を整理し気分をリフレッシュさせる方法です。言うなれば「一瞬でぼんやりモードに入れる方法」のようなもの。1分程度の瞑想でも頭の中がスッキリしますし、感情のコントロールにも役立ちます。

ひらめき力が上がる「4つのB」も意識して

ビジネスの世界では昔から、アイデアが生まれやすい場所として次の「4つのB」があげられます。

  • Bathroom(お風呂、トイレ)
  • Bus(バスなど移動中の車内)
  • Bed(寝室、布団の中)
  • Bar(お酒や食事を楽しむ場)

上記の4つに共通するのは、リラックスできる場所であること。忙しさから逃れ、ほっと一息ついて頭が空っぽになる瞬間(つまり「ぼんやりモード」に入る瞬間)こそ、ひらめき力が高まるチャンスです。仕事や趣味でよいアイデアを出したいときは、これら「4つのB」もぜひ意識してみてくださいね。