Monthly Health Report (2023.10)

暮らしの栄養素メモ

ビタミンB12

ビタミンB12は、人間の体内で補酵素として働く水溶性のビタミンです。とくに血液の生成に関して重要な役割を持ち、「赤いビタミン」とも呼ばれます。

ビタミンB12の働きと特徴

ビタミンB12は、体内で赤血球の合成をサポートする補酵素としての役割を担い、「造血」と「神経機能の維持」に深く関与しています。ヘモグロビン(赤血球の色素成分)と同じく赤い色を持つため、別名「赤いビタミン」とも呼ばれています。

ビタミンB12は動物性食品に含まれる栄養素で、通常の食生活で不足する心配はあまりありません。しかし、動物性食品を極端にとらない(もしくは全くとらない)生活をしている人や、胃・小腸に疾患を持つ人は、欠乏のリスクがあります。また胃酸の分泌量が減少する高齢者も、栄養吸収率が低下して結果的に不足するケースがあります。

ビタミンB12が不足すると、貧血とそれに伴う症状(倦怠感、疲労感、動悸・息切れなど)や、神経機能の異常(手足のしびれ、痛みなど)が生じ、進行すると全身の筋力低下や神経線維の損傷、亜急性連合性脊髄変性症などを引き起こす可能性があるため注意が必要です。

ビタミンB12の摂取目安量

厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2020年版)によると、12歳以上の男女におけるビタミンB12の推定平均必要量は2.0(妊婦は+0.3、授乳婦は+0.7)μg/日、推奨量は2.4(妊婦は+0.4、授乳婦は+0.8)μg/日です。なお規定量を超える分は自動的に体外へ排出されるため、通常は過剰摂取の心配はありません。

ビタミンB12を多く含む食品

ビタミンB12は、基本的に肉や魚といった動物性の食品に含まれています。とくに、肉類(牛・豚・鶏のレバー)や、貝類(しじみ、あさり、はまぐり、牡蠣等)に豊富です。また、魚介類(青魚、マグロ、たらこ等)、卵、チーズ、牛乳、焼海苔などにも比較的多く含まれています。水に溶ける性質を持つため、煮汁ごと食べる調理法がオススメです。