Monthly Health Report (2023.11)

暮らしの栄養素メモ

タンニン

タンニンは、柿やぶどう、茶葉、コーヒー豆などに含まれるポリフェノールの一種です。独特の渋味を形成している成分であり、さまざまな健康作用を持ちます。

タンニンの働きと特徴

タンニンとは、植物に含まれる天然ポリフェノールの一種です。ポリフェノールの多くは強い抗酸化作用を持ちますが、タンニンもやはりその嬉しい特徴を備えています。タンニンが健康に与える影響は、主に次のようなものです。

(1)抗酸化作用
タンニンには、体内の活性酸素が増えすぎるのを防ぐ効果があります。活性酸素はもともと人間の身体にとって必要なものですが、増えすぎると細胞を傷つけ、老化や病気の原因になることがあります。タンニンはその増殖を抑えて細胞を守り、アンチエイジングや健康の維持に役立ちます。
(2)悪玉コレステロールを減らす
タンニンは悪玉(LDL)コレステロール値を低下させ、動脈硬化や生活習慣病、がんなどの病気予防に役立ちます。
(3)下痢の改善
タンニンの持つ収れん作用(タンパク質を変性させて組織や血管を縮める作用)は、腸粘膜を刺激して下痢の改善に役立ちます。タンニンの一種であるタンニン酸は、下痢止めの市販薬にも使用されています。

タンニンの摂取目安量

厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2020年版)によると、タンニンの摂取目安量はとくに定められていません。通常の食生活での欠乏は心配ありませんが、過剰摂取すると便秘や胃石といった不調の原因となることがあります。一般的に、柿であれば1日に1~2個までが適量の目安です。

タンニンを多く含む食品

タンニンは、柿(とくに渋柿)、茶葉(紅茶、緑茶、ほうじ茶、烏龍茶など)、コーヒーなどに豊富に含まれています。また、ぶどうの皮・種・茎部分にも多く含まれるため、赤ワインもタンニンが豊富な食品の一つです。