Monthly Health Report (2024.02)

ゆるやかメンタルヘルス術

今日からできるメンタル向上術
手軽で効果的な「日光浴」のコツ

日光浴は、ぽかぽかと温かいだけでなく、実はメンタルの健康維持にも効果的です。日光浴を行うことで、冬季うつの予防・改善や、やる気・集中力のアップ、睡眠の質の向上など、さまざまな効果が期待できます。今回は、簡単で効果的な「日光浴のコツ」について解説します。

日光浴とメンタルの深い関係

日光浴は、手軽にできるメンタル向上術の1つです。太陽光はセロトニンやビタミンDの生成を促進することで、前向きな気持ちを促してやる気や集中力を高めてくれます。

しかし秋から冬にかけては、春夏よりも日照時間が短くなり、ビタミンDの生成に必要な紫外線の量も少なくなります。日本で秋冬の時期に季節性うつ(冬季うつ)が増えるのはこのためで、日照時間が短い北欧諸国ではより深刻な問題となっています。日照不足になりがちなこの季節、メンタルを整えるためには積極的な日光浴を行うことが大切です。

特に、仕事で屋内にいる時間が長い人、テレワークなどで外出の機会が減った人は、こまめな外出や、室内でもできる日光浴の習慣を生活に取り入れたいところです。

日光浴がくれる2つの嬉しい要素

日光浴を行うことでメンタルが安定するメカニズムには、次の2つの要素が関係しています。

(1)セロトニン
「幸福ホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、心の安定や幸福感に寄与する神経伝達物質です。
このセロトニンは、太陽の光を目がとらえること、つまり太陽光を「目で見る」ことで分泌が活性化されます。セロトニンはポジティブな気分を増加させ、やる気や集中力をアップさせるほか、夜になると「睡眠ホルモン」メラトニンに変化して睡眠の質を高めてくれます。
(2)ビタミンD
ビタミンDは、太陽光に含まれる紫外線によって体内に分泌されることから「日光ホルモン」とも呼ばれています。
ビタミンDは免疫機能の維持のほか、ストレスの発散や精神安定に関わるカルシウムの吸収率をアップさせる役割も担っており、抑うつ症状の緩和や神経系の正常な機能維持にとって欠かせない栄養素です。

日光浴はこんな人にオススメ

メンタルの調子を上げる日光浴のポイント

■1日何分くらいがちょうどいい?
日光浴の効果を感じるためには、春夏であれば1日15~30分ほど、秋冬は30~60分ほどを目安に行うのが理想的です。ただし、緯度の高い地域(北海道や東北など)は、緯度の低い地域(沖縄や九州など)に比べて日光に含まれる紫外線の量が少ないため、時間をやや長めに取るとよいでしょう。また、地域に関わらず雨や曇りの日もやや長めの日光浴がオススメです。
■ガラス越しでも効果はある?
セロトニンの生成はガラス越しでも問題なく行われますので、外に出るのが難しい場合は窓越しの日光浴でもOKです。ただし、ガラス越しでは紫外線B波(UVB)が遮断され、ビタミンDの生成は行われません。このため、屋外で直接日光を浴びるほうがより効果的です。
■UVケアはした方がいい?
紫外線B波はビタミンDの生成を促進してくれますが、過剰な量を浴びると肌や目、身体にダメージを与えてしまいます。このため、肌が弱い方や紫外線量が多い日の日光浴については、UVケアをオススメします。ちなみに、皮膚の一部だけでも紫外線に接触すればビタミンDの生成が促されるので、下記でご紹介する「手のひら日光浴」なども有効です。

手軽で効果的な日光浴のアイデア

■朝の散歩・ウォーキング
メンタルの向上には、朝の散歩が非常に効率的かつ効果的です。午前中に日光を浴びると、体内時計がリセットされて身体がしっかり目覚めます。また日中の活動の前に身体を動かすことで、1日のエネルギー消費量も活発になります。
■ベランダや窓際での日光浴
外に出るのが難しい場合や、「朝は忙しくて外出できない」という人は、ぜひベランダや庭、窓際などで日光浴をしてみてください。毎日一定の時刻に日光浴すると、自律神経も整います。
■手のひら日光浴
日光浴は手のひらだけでも効果的です。仕事の合間やランチタイムに気軽にできる方法なので、多忙な方にもオススメです。冬はしっかり防寒して、夏はUVケアをして、手のひらだけの日光浴を楽しんでみてください。