Monthly Health Report (2024.05)

ゆるやかメンタルヘルス術

そのスマートフォン、使いすぎていませんか?
意外と怖い「脳過労」を予防しよう

現代社会においてスマホは生活に欠かせないアイテムですが、使いすぎてしまうと「脳過労」と呼ばれる不調を引き起こすことがあります。やる気の低下やイライラ・モヤモヤは、スマホ脳過労のせいかも。今回は、スマホ脳過労のメカニズムと予防・改善策について解説します。

スマホによる「脳過労」とは?

脳過労とは、脳が過剰な情報処理によって大きな負荷を受け、疲労による機能低下状態に陥ることです。現代ではとくにスマホの使いすぎが原因で起こりやすいとされ、自分でも気づかないうちに脳過労の状態に陥ってしまう人が増加しています。

脳は情報を処理し、判断を下し、記憶を保持するなど、私たちの日々の活動に不可欠な役割を果たしています。しかし脳も他の臓器と同様に、使いすぎれば消耗が生じ、機能が低下します。近年はスマホの普及により、脳に要求される情報処理の量が格段に増加しました。SNSやメール、ニュースアプリなどを通じて常に新しい情報に触れ続けていると、脳は休む間もなく情報を処理し続けることになり、蓄積した疲労から「脳過労」へとつながるのです。

脳過労が心身に及ぼす影響

脳過労のサインとしてよく見られるのは、集中力や判断力の低下、やる気の減退、記憶力の低下、イライラや不安感の増大などです。これらの症状は日常生活に大きな影響を及ぼし、仕事や学業のパフォーマンスを悪化させてしまいます。また、人間関係においても問題を引き起こす可能性が高まります。

最近「物忘れが多い」「単純なタスクにも集中できない」「なんとなく焦燥感があって落ち着かない」と感じている方は、もしかすると脳過労の傾向が強くなっているのかもしれません。脳過労が慢性化すれば、うつ病など深刻な健康問題を引き起こすリスクもあるため、注意したいところです。

さらに、身体的な影響も無視できません。脳過労の状態は自律神経に大きな負担をかけ、睡眠の質をも低下させることが知られています。睡眠は、脳にとって唯一の完全な休息時間と言っても過言ではありません。適切な休息が取れないことで、脳は回復する機会を失い、疲労がさらに蓄積していく悪循環を引き起こします。脳過労は人体にとって、単なる「疲れ」を超えた、深刻な疲弊状態なのです。

こんな人は「脳過労」に要注意

脳過労を予防・改善する3つの対策

脳過労を予防・改善するために、日常生活に次のような工夫を取り入れてみましょう。

■5分だけデジタルデトックス
1日のうち、5分~10分といった短時間でも良いので、意識的にスマホから離れる時間を設けてみましょう。この時間はスマホを手の届かない所に置き、ぼんやりしたり、窓の外を眺めたりといった、脳を休息させる活動にあててみてください。脳にとってはこの時間がリフレッシュタイムとなり、脳過労の予防に役立ちます。
■マルチタスクを避ける
多くの人が効率化のためにマルチタスクを行いますが、これは脳に過剰な負担をかける原因となってしまいます。研究によると、人間の脳は一度に一つのタスクに集中するようにできており、マルチタスクは負担の大きい苦手分野なのです。一つの作業に集中し、それが終わってから次の作業に移る、という単一タスクの習慣が、脳の疲労軽減につながります。
■あえて手足を動かすこと
手や足を動かすことは脳に良い刺激を与え、リフレッシュにつながります。たとえば、手書きで日記を書く、無心になれる作業をする、何も考えずにのんびり散歩をするなど、意識的に手足を使う活動を生活のなかに取り入れましょう。

マインドフルネス(瞑想)もオススメ

瞑想の一種であるマインドフルネスは、意識を「今、ここ」だけに集中させるメソッドです。瞑想というと難しそうに聞こえますが、マインドフルネスの実践方法はとてもシンプルです。

姿勢を正し、目を閉じて、深呼吸をしながら身体の感覚(五感)に意識を集中させます。頭に浮かぶ考えは、深追いせずに浮かんだそばから手放していく感覚で、頭を空っぽにしていきましょう。

これらの対策を取り入れることで、脳過労を予防し、心と身体の元気を維持することができます。無理なく小さな一歩から、ぜひチャレンジしてみてくださいね。