Monthly Health Report (2025.06)

ゆるやかメンタルヘルス術

“がんばらない”大人のセルフケア
心に効く、雨音の処方箋

雨の日が続くと、気持ちが重たくなりやすいですよね。でも、その雨音に心を癒やしてくれる力があるとしたら……?
梅雨は憂うつなだけでなく、自分をいたわる絶好のチャンスです。
心が沈みがちなこの季節、自然の音を味方に、少し前向きに過ごすヒントをご紹介します。

梅雨どきの不調を「音」で和らげる

梅雨に入ると、なんとなく身体がだるい、気分が晴れない……そんな不調を感じる方が増えてきます。こうした不調の要因はさまざまですが、多くの場合、気圧や湿度、日照時間の変化によって、自律神経のバランスが乱れやすくなることにあります。

自律神経とは、私たちの身体が健やかに機能するように、自動的に調整してくれている神経系です。自律神経には、休息・リラックス時に働く「副交感神経」と、緊張・興奮時に働く「交感神経」の2つがあり、シーソーのようにバランスを取り合っています。しかし、梅雨の時期にはこのバランスが崩れ、心身の不調が現れやすくなるのです。

その対策として注目されているのが、「音」の力。自然音の多くは、副交感神経のスイッチを入れ、心をリラックスした状態へと導いてくれます。とくに近年の研究では、一定のリズムと心地よい雑音(ホワイトノイズ)を含む「雨音」が、ストレスの軽減に役立つことが報告されています。

人が雨音に癒やされる仕組み

雨音には、音楽のような強い刺激はありません。それにもかかわらず、心を穏やかに整えてくれるのは何故なのでしょうか?

そのカギを握るのが、「1/fゆらぎ」というリズム構造です。「1/fゆらぎ」とは、自然界に多く見られる、「不規則な中にも規則性があるリズム」のこと。人間の心拍や脳波とも調和しやすいこのリズムは、脳に過度な緊張を与えず、安心感を引き出してくれます。

また、脳内で不安や緊張に深く関与している「扁桃体」という部分の活動も、雨音によって穏やかになることがわかっています。これにより、イライラや不安が和らぎ、自律神経のバランスも整いやすくなるのです。静かな雨音は、心と身体を優しくほぐしてくれる、自然の処方箋ともいえるでしょう。

こんな人にはとくにオススメ

今日から始める♪ 雨音リラックス習慣

雨音のメリットを活用できるようになると、憂うつな雨の日が、リラックスできるポジティブな日に変わります。もちろん、雨が降っている日だけでなく、アプリや動画を活用すれば、いつでも「自然の雨音」を流すことができますよ。

■夜のスマホを「雨音タイム」に置き換える
夜寝る前、なんとなくSNSを眺めてしまうなら……代わりにスマホで雨音を流してみるのはいかがでしょうか。目を閉じて優しい雨音に意識を向けているうちに、緊張がほどけて自然と眠気が訪れます。眠りの質を高めたい人にもぴったりの習慣です。
■お風呂タイムに「音のスイッチ」を取り入れる
入浴中やボディケアの時間に、スピーカーで優しい雨音を流してみてください。温かい湯気とともに音が広がり、心身がふわっとゆるみます。ルーティンに溶け込ませることで、無理なく習慣化もできます。
■ひとり時間に「音だけの休息」を
休憩時やティータイムには、スマホやテレビから離れて、ただ雨音を楽しんでみましょう。耳から癒やされるひとときは、情報の波から逃れて「何もしない時間」に慣れる練習にもなります。

静けさの中にある「豊かさ」を楽しんで

日々忙しく過ごしていると、「何もしない時間」に罪悪感を抱いてしまうことがありますが、これは心を休ませるために必要な時間です。思考や感情を整理するためにも、脳に余白をつくる静かな時間は欠かせません。

とはいえ、いきなり無音の世界に身を置くのは不安に感じる方も多いでしょう。そんなときこそ、雨音のような優しい自然音を試してみてください。雨音を流しておくだけで、自分の周囲にある空間がふんわりと包まれるような安心感が生まれます。その感覚を楽しむことができれば、静けさに対する違和感や怖さも軽減されることでしょう。

完全な無音ではなく、心に負担をかけないやわらかな音に包まれた環境は、騒音から身を守るだけでなく、自身と対話するきっかけにもなります。考えすぎたり焦ったりして心が消耗する感覚も、少しずつ軽減されていくはずです。雨音で心に余白をつくる大人のセルフケアを、ぜひ試してみてくださいね。