Monthly Health Report (2025.08)

ゆるやかメンタルヘルス術

「冷房疲れ」に負けない身体へ
自律神経を整える夏のセルフケア術

夏場、涼しい部屋にいても身体が疲れてしまう……。その体調不良は、寒暖差による自律神経の乱れが原因かもしれません。暑さで消耗しやすい季節だからこそ、心身のバランスを整えることが大切です。今回は「冷房疲れ」の仕組みと日常で実践しやすい対策を紹介します。

冷房と自律神経の関係とは

私たちの身体には、呼吸や体温、消化機能などを調整する「自律神経」が備わっています。「暑ければ汗をかいて熱を発散し、寒ければ血管を収縮させて熱を逃がさないようにする」といった身体の反応も、自律神経の働きによるものです。

この自律神経は、寒暖差に弱い性質を持っています。たとえば、冷房で冷えた室内と炎天下の屋外を何度も行き来すると、急な温度変化に対応しようとして、自律神経はフル稼働します。その結果、調整機能が追いつかなくなり、いわゆる「自律神経の乱れ」が起きて、だるさ、頭痛、手足の冷え、肩こり、倦怠感といった症状が生じるのです。とくに室内外の温度差が5℃以上になると、自律神経への負担が大きくなるとされています。気づきにくい不調だからこそ、早めのケアが大切です。

「冷房疲れ」が引き起こす「ストレスの悪循環」

冷えすぎが原因で起きるストレス反応は、大きく分けて2つです。

1つめは、自律神経の切り替えがうまくいかないことによるもの。自律神経には、活発に動くときに働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」の2種類があり、この2つがシーソーのようにバランスを取り合って心身の調子を保っています。しかし、室内外の激しい温度差にさらされると、この切り替え機能に負担がかかり、バランスを崩してしまうのです。

2つめは、冷えによる血流の低下によるもの。人間の身体は、寒さを感じると末梢の血管を収縮させます。これは血行をゆるやかにすることで体温を逃がさないための働きですが、長時間冷房に当たり続けた場合、脳や筋肉に流れる酸素や栄養が減少し、集中力の低下やイライラ感、倦怠感といった不調につながることがあります。

これらは一見、別々のメカニズムに見えますが、相互に影響し合います。身体の冷えがストレスを誘発し、ストレスがさらに自律神経を不安定にさせる。この悪循環が、夏の不調を長引かせる「冷房疲れ」の正体です。

こんな人はとくに要注意

外出先での「冷房疲れ」対策

■服装で冷えと寒暖差に備える
冷房の効いた屋内と暑い屋外を行き来する日は、体温調節しやすい服装選びが大切です。カーディガンやストールなどを持ち歩き、冷気が当たりやすい首や腰をしっかり守りましょう。
■冷風をできるだけ避ける
電車やカフェ、オフィスといった冷房がよくきいた場所では、冷たい風が直接身体に当たらないよう、座る位置をできるだけ調整しましょう。首や背中に1枚羽織るだけでも冷えの予防になります。
■飲み物は身体を冷やさない選び方を
冷たい飲み物・食べ物のとりすぎは、内臓を冷やして自律神経の乱れを助長させます。できるだけ常温もしくは温かい飲み物を選び、身体の内側から冷えを防ぎましょう。
■運動と休憩で血流を保つ
長時間の移動やデスクワークで座りっぱなしになるときは、つま先の上げ下げや肩回しなどの軽い運動をとり入れて血流を促しましょう。1時間に1回を目安にこまめな休憩をとることも、冷房疲れの予防に役立ちます。

自宅での「冷房疲れ」対策

■温度と風向きを適切に保つ
室内と外との温度差を5℃以内に抑えると、自律神経の負担をやわらげられます。エアコンの設定温度は26~28℃を目安に、風向きは直接身体に当たらないよう天井に向けるのがオススメです。
■湿度を調整して体感温度を快適に
温度だけでなく、湿度も大切です。夏の身体にとって快適な湿度は50~60%程度。除湿器・加湿器を活用し、湿度を安定させましょう。
■冷えやすい部位を集中的に温める
足元やお腹まわりなど、冷えを感じやすい場所は、靴下や腹巻、ひざ掛けで保護しましょう。全身を厚着するよりも、要所を温めるほうが効果的です。
■1日の終わりにリセット習慣を
ぬるめ(38~40℃)のお風呂に15分ほど浸かると、血流が促されて副交感神経が優位になり、心身がリラックスして回復が促されます。夕食にはショウガやネギなど温性食材をとり入れ、体の内側からも冷えをケアしましょう。