Monthly Health Report (2025.12)
ゆるやかメンタルヘルス術
気持ちを軽く、思考をクリアに
心整う「やらないことリスト」実践法
年末が近づくと「あれもこれもやらなきゃ」と心が慌ただしくなりがちです。でも、頑張りすぎた脳はオーバーヒートぎみかも。そんなときこそ「やらないこと」を決めて、心と時間の余白を取り戻してみませんか?
今回は「やらないことリスト」の効果と活用法を解説します。
「やらないことリスト」とは
現代人は、スマートフォンの通知やメール、SNSなどを通じて、1日に数千~数万回もの「小さな選択」をしているといわれます。その度に、脳の中で意思決定をつかさどる「前頭前野」がエネルギーを消費し、脳に疲労が蓄積されていきます。この状態が続くと、判断力が鈍り、集中が続かなくなります。これがいわゆる「判断疲れ」です。
スタンフォード大学の研究では、同時に多くの作業をこなそうとする「マルチタスク派」の人は、作業効率がかえって低下してしまうことが報告されています。マルチタスクでは、次々と入ってくる情報(刺激)を休む間もなく処理し続けることで、脳が疲弊してしまうのです。
そこで役立つのが「やらないことリスト」。これは、日常の中であえて「やらない行動」を決めておくことで、不要な判断を減らして脳の興奮を鎮める方法です。
たとえば「朝一番にSNSを見ない」「デスクに余計なものを置かない」など、小さな「Not To Do(やらない)」ルールを決めておくだけで、思考のノイズが減り、脳が落ち着きを取り戻していきます。
「やらないことリスト」のメリット
リストは、脳への過剰な負荷を一度リセットし、神経のバランスを整えるための仕組みです。情報という刺激を減らせば脳への負担が減り、物事を広い視点で見直す余裕が生まれます。短期的な効率だけでなく、長期的に無理なく動くためのペース配分を考えられるようになるのです。
また、あらかじめ「やらないこと」を明確にしておくと、外部のペースに流されにくくなります。心理学でいう「自己決定感(行動や選択を、自分の意思にもとづいて決められる感覚)」が高まり、ストレス耐性や幸福度の高さにも良い影響を与えるとされています。
「やめること」を決めておくのは、決して怠けることではなく、自分のリズムを主体的に取り戻すための手法なのです。
こんな人には「やらないことリスト」がオススメ
- □ 仕事を抱え込みやすい人
- □ 頼まれると断れない人
- □ SNSを見て落ち込みやすい人
- □ 完璧を求めて疲れやすい人
- □ 自分の時間を後回しにしがちな人
- □ 小さなことにイライラしやすい人
- □ リセットするきっかけがほしい人
- □ 新しい年を軽やかにスタートしたい人
「やらないことリスト」のつくり方
- (1)行動を書き出す
- まずは、一日の行動をできるだけ細かく書き出します。通勤、メールチェック、SNSなど、無意識の行動も省略せずにリストアップしましょう。評価はせず、事実だけを記録するのがポイントです。行動を可視化することで、時間や気力を奪っている行動が見えてきます。
- (2)「やらないこと」候補を見つける
- 書き出した中から、「やらなくても支障がない」「効果が薄い」「他の人に任せられる」行動を抽出しましょう。あくまでも候補なので、気軽に選んで大丈夫です。
- (3)自分軸で選ぶ
- 自分の価値観や目標に照らして、本当にするべきことを見極めて、優先順位を決めていきます。外部の期待ではなく、「今の自分にとって必要かどうか」で判断することが大切です。
- (4)「やらないこと」を具体的に書く
- 優先順位の低いものを、1~3項目ピックアップします。このとき、「SNSを減らす」ではなく「SNSは1日●●分まで」といった具体的な表現にすると、習慣化しやすくなります。
実践する際のポイント
- ■完璧ではなく「7割達成」を目指す
- やらないことリストは、自分を縛るためのルールではなく、より良い人生を手に入れるための手法です。完璧を求めると挫折しやすくなるので、「7割ほど実行できれば充分」というつもりで、気軽に続けていきましょう。
- ■状況に合わせて見直す
- 同じリストをずっと続ける必要はありません。仕事や家庭の事情によって、優先順位は変わるもの。リストは年に1~2回、タイミングを決めて見直し、環境やライフステージの変化に応じてどんどん更新していきましょう。
- ■周囲との関係を円滑にするコツ
- 精神的な余裕をキープするためにも、相手の気持ちに寄り添う配慮を心がけましょう。何かをお断りするときは、「やらないことリスト」を実践していることを伝えたり、「資格取得の勉強に集中して取り組みたいから」といった前向きな理由を添えたりすると、トラブルを減らせます。
出典/明治安田生命保険相互会社