Monthly Health Report (2023.07)

今知りたい 季節の健康コラム

熱中症とクーラー病

屋外では蒸し暑さにげんなりし、室内では冷房の風に震えてしまう……。そんな日本の夏場では、「熱中症」と「クーラー病」の両方に注意が必要です。

熱中症は、気温や湿度が高い環境下で、身体が放熱できず体内に熱がこもってしまうことで起こります。主な症状は、頭痛やめまい、吐き気、痙攣、意識障害など。症状を自覚できないまま急激に悪化し、生命に危険が及ぶことも珍しくありません。

もう一方のクーラー病は、その名のとおりクーラー(冷房)の効いた涼しい環境下で起こり得ます。クーラー病の原因は、急激な温度変化による自律神経の乱れです。体温を一定に保つために機能している自律神経は、大きな温度差とその繰り返しに弱く、暑い屋外と涼しい室内を行ったり来たりすることでバランスを崩してしまいます。クーラー病の主な症状は、頭痛、肩こり、倦怠感、食欲不振、不眠など。また、不安感やイライラ、集中力の低下といった精神的な不調も多くみられます。

熱中症とクーラー病、どちらにも共通するキーワードが「体温調節」です。屋内外の気温差が大きくなる夏は、体温の調節を担っている自律神経に負担をかけない工夫が大切になります。まずは暑さ対策として、日傘や帽子の活用や、涼しい時間帯を選んでの移動、こまめな水分補給などを意識し、熱中症を防ぎましょう。一方で室内での寒さ対策として、脱ぎ着しやすい服装、ストール・ひざ掛けなどの着用を。エアコンの温度は暑さ・寒さを我慢しない適切な設定を心がけ、風が直接身体に当たらないようハネの角度を調整しましょう。

また、1日の終わりの入浴習慣も大切です。目安は、40℃前後のお湯に10~15分程度ゆっくり浸かること。じわりと汗がにじむ程度の入浴を毎日続けると、自律神経のバランスが整ううえ、不眠改善にも役立ちます。