Monthly Health Report (2023.09)

あの日あのとき… なつかしの流行語

アベック

過去に一世を風靡したものの、今は使われていない、死語……。そんな死語だとわかっていても、なぜか使いたくなってしまう言葉というのは、誰にでも1つや2つあるのではないでしょうか。バブル期以前に大人だった世代にとって、「アベック」はそんな魅惑の死語かもしれません。

「アベック」とは、恋人同士や男女の2人連れを指す言葉です。語源はフランス語のavecで、これは英語のwithに近い「~と一緒に」という前置詞なのですが、日本では名詞や代名詞のような自立語(主語に使える言葉)として拡散されました。この外来語が日本に入ってきたのは、大正時代にあたる1920年代。その後、1960年代(昭和中期)に全国で流行し、1980年代(平成バブル初期)まで、長い栄華を誇ったのです。その後「アベック」は和製英語の「カップル」にその地位を明け渡し、バブルが崩壊した1990年代頃にはあまり使われなくなりました。しかし、「アベック優勝」「アベックホームラン」など今でも使われている慣用句には、この流行の名残がみられます。