Monthly Health Report (2023.09)

暮らしの栄養素メモ

ソルビトール

ソルビトールは、梨やリンゴなどバラ科の果物に多く含まれる糖アルコールの一種です。一般的な砂糖よりもカロリーが低く、整腸作用などが期待できます。

ソルビトールの働きと特徴

ソルビトールは、キシリトールやグリセリンと同じく、ブドウ糖と水素が化合して作られる糖アルコール(甘味成分)の一種です。主にバラ科の果物に豊富な成分で、梨やリンゴに見られる半透明の「蜜」の部分には、果実の中で自然に生成されたソルビトールが豊富に含まれています。

糖アルコールには、「熱・酸・アルカリに強い(=加工しやすい)」「微生物の栄養源になりにくい(=虫歯になりにくい)」「低カロリーで血糖値が急上昇しにくい(=ダイエットに効果的)」といった共通の特徴があり、安全性の高い添加物として加工食品に多く用いられています。中でもソルビトールは「水分を保持する機能」を併せ持つため、加工製品の食感や見た目をよくし、冷凍後の変質を防ぐ添加物として、かまぼこなどの水産加工品や煮豆、佃煮など多くの食品に用いられています。

また、ソルビトールには「整腸作用」や「喉を潤す作用」も期待できます。秋の味覚である梨に便秘解消効果や咳止め効果があるとされるのは、こうしたソルビトールの働きによるものといえるでしょう。

ソルビトールの摂取目安量

厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2020年版)によると、ソルビトールの摂取目安量はとくに定められていません。ソルビトールには整腸作用があり便秘解消にも役立ちますが、反面、過剰摂取すると下痢を引き起こす可能性があります。ただし、通常の食事の範囲内であれば不足や過剰摂取の心配は不要です。

ソルビトールを多く含む食品

ソルビトールは、バラ科の果物類(梨、リンゴ、かりん、もも、すもも、プルーン、びわ等)に多く含まれています。また食品添加物として、かまぼこなどの魚介加工品、羊羹などのあん類、味噌などの調味料、煮豆、佃煮、菓子類など、多くの加工食品にも含まれています。