Monthly Health Report (2023.11)

今知りたい 季節の健康コラム

口呼吸

秋から冬にかけて冷たくて乾燥した空気が訪れると、健康へのさまざまな影響が気になり始めますよね。その中でも「口呼吸」が健康に与える影響は意外と見過ごせないものです。鼻が詰まりやすい季節は口呼吸が増えやすいうえ、この時季の乾燥した冷たい空気は喉に負担をかけやすくなるため注意が必要です。

口呼吸が私たちの健康や生活に与える悪影響は、主に3つです。1つめは「虫歯や歯周病リスク」。口腔内の唾液は虫歯菌などの増殖を抑えて歯を守る役割を果たしていますが、口呼吸により口腔内が乾燥すると唾液の分泌が減少し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

2つめは「口臭」。口呼吸により唾液が不足すると、口の中の食べカスや細菌が残留・増殖しやすくなり、それが臭いの原因になります。

3つめは「風邪などの感染症」。鼻呼吸の場合、鼻の中の粘膜や鼻毛(びもう)が空気に含まれるウイルスや病原菌、ホコリなどを取り除くフィルターの役割を果たしています。しかし口呼吸ではこの防御メカニズムが機能せず、風邪をはじめとする感染症にかかりやすくなります。

口呼吸の予防・改善には、口を閉じるための筋肉を鍛えることが大切で、これには「あいうべ体操」が効果的です。手順は簡単で、口を「あ」「い」「う」の形にそれぞれ大きく広げたあと、あかん「べー」をするように舌を下向きに突き出します。1日30回を目安に行いましょう。体操により舌や口まわりの筋肉が徐々に鍛えられれば、自然と口が閉じ、鼻呼吸がしやすくなっていきます。また、歯並びが原因で口を閉じにくい場合は早めに歯科医に相談しましょう。歯列の矯正治療を行うことで口呼吸が改善されるケースも少なくありません。あいうべ体操や歯並びの矯正にはある程度の時間がかかりますので、改善されるまでの間、鼻呼吸をサポートするテープ(唇に貼るもの)を活用するのもオススメです。