「マブダチ」という言葉を見かけると、昔の思い出がふっとよみがえる人も多いでしょう。放課後のにぎやかな教室や、ささいなことで笑い合った仲間の顔……。そんな景色が浮かぶ、温度感のある表現です。
この言葉を若者たちが使い始めたのは、1970年代後半のこと。ヤンキー文化から派生し、80年代にはテレビや漫画を通して全国的な流行語になりました。語源は「マブ=本物」「ダチ=友達」、つまり「本物の友達」という意味合いです。ただし、今も使われている「親友」よりも、どこか荒削りで情に厚いニュアンスが含まれます。
当時は、インターネットや携帯電話が一般家庭に広がる前の時代です。人とのつながりは、対面で築くことが当たり前でした。同じ町で同じ時間を共有する若者たちは、直接顔を合わせ、近距離で声を掛け合い、触れ合い、ときには喧嘩や仲直りを繰り返しながら信頼を深めていったのです。この言葉が記憶に深く刻まれているのは、そんな時代を過ごした名残なのかもしれませんね。